子どもが自然と勉強するようになる、科学的根拠に基づくたった2つのこと

こんにちは。『教育パパですが、何か?』です。

多くの親は勉強が大切だと考えています。

一方で、子どもの勉強について悩んだり不安を抱いたりしている親が多いことは、統計データからも明らかになっています。

親が勉強しなさいと言わなくても子どもが普段から勉強してくれる、そうなって欲しいと多くの親は思っているのではないでしょうか。

Twitterのフォロワー数が10,000を超えてきて、そのような悩みや不安の声を聞く機会が増えてきました。

本書は、少しでもそのような親御さんのヒントになればと思ってまとめたものです。

人に何か大切なことを伝えるとき、自分の経験(N=1)だけに基づくと説得力に欠けます。

科学的根拠とそれに基づく実践があってこそ説得力が生まれるものだと思います。子どもの教育において、理論だけでも不十分、実践だけでも不十分です。

目次

● 子どもが勉強してくれない
● 親の大きな負担
● 学習習慣の大切さ
● 子どもが自然と勉強するようになる2つのこと
● これら2つに共通すること
早期教育の必要性と考慮すべき大切なこと
● なぜこれら2つなのか?(2つの科学的根拠に基づいて)
● 実践で役立つあと2つの科学的根拠
● 就学前の教育目標
● 実践例(10種類)の紹介

子どもが勉強してくれない

子どもが勉強してくれないと思っている親は多いように思います。遊びやゲームばかりして勉強を全然してくれないという話はよく聞きます。

遊びやゲームは悪いものばかりではないと自分に言い聞かせ、子どもを信じて辛抱強く待ったとしても、子どもに勉強する兆しが見えてこなければ、遊びやゲームを悪者にしたくなります。

それでは、小中学生がどのくらい勉強してくれないのかを統計データで見てみましょう。

ベネッセ教育総合研究所は、2014年3月に小中学生の学びに関する実態調査の結果を公開しています。

図1のグラフは、全国の小学生(小4~小6)及び中学生とその保護者を対象に実施された『家での学習習慣』についての調査結果です(関係する部分だけ抜粋しています)。

どれだけ勉強するか_ベネッセ

図1 家での学習習慣(小中学生の学びに関する実態調査 速報版、
ベネッセ教育総合研究所、2014年3月)

ここで小学生に焦点をあてると、『出された宿題をきちんとやっていく』が8割もいるのに対して、『毎日コツコツ勉強する』や『親に言われなくても自分から勉強する』が3割程度になっています。つまり、7割程度の小学生は家庭での学習習慣が身についていないことを示しています。

さらに中学生になると、その結果はもっと悪くなっています。

この調査によって、家庭での学習習慣を身につけることがいかに難しいかが科学的にも示されているということになります。

===

子どもが勉強してくれないなら、親は「勉強しなさい」とか「宿題しなさい」とか言いたくなります。

しかし、親が子どもに「勉強しなさい」と言っても成績が上がりにくいことが、中室教授によって2013年に科学的に証明されています。このエビデンスに従うなら、親は子どもに「勉強しなさい」と言わないようにすることが正解になります。

では、親が子どもに「勉強しなさい」と言わなければそれで良いのでしょうか?そんなはずはありません。

「勉強しなさい」と言わなかったらもっと勉強しないという話も聞きます。「勉強しなさい」と言わないようにするだけであれば、単に親は子どもに勉強するかしないかを委ねているに過ぎません。

勉強する子はするし、しない子はしないという当然の結果になるでしょう。

===

では、なぜ家庭での学習習慣を身につけることが難しいかについて見ていきたいと思います。

文部科学省は、平成20年8月に子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告書を公開しています。この結果のうち、自宅での学習を表す『通信添削』が嫌いな小中学生を対象に、その理由を調べています。図2のグラフがその結果です。

1位は『勉強がきらいだから』です。

勉強が嫌いな理由_文科省

図2 通信添削の指導が嫌いな理由(子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告、文部科学省、平成20年8月)

小学生でも『勉強がきらいだから』という理由が概ね4割から5割と割合が高くなっています。つまり、家庭学習が嫌いな理由の多くは勉強自体が嫌いだからなのです。

したがって、子どもは勉強が嫌いになりやすいということが統計データで示されているということになります。

勉強が嫌いであれば、家庭での学習習慣を身につけられるはずがありません。

親の大きな負担

今度は視点を変えて、子どもの勉強に関する親の負担について見ていきたいと思います。

勉強の悩み
文部科学省の平成29年3月の調査結果によると、子どもの勉強や進学のことで悩んだり不安を抱いたりしている親がとても多く、以前よりも増していることが分かっています。

図3は、文部科学省による子育てについての悩みや不安に関する調査結果です。

親の悩み_文科省

図3 子育てについての悩みや不安
(家庭教育の総合的推進に関する調査研究、文部科学省、平成29年3月)

このグラフを見ると、平成20年のときは『子共のしつけやマナーのこと』が悩みや不安の1位だったのに対して、平成28年では『子共の勉強や進学のこと』が悩みや不安の1位になっています。

この8年間で、子どもの勉強や進学に対する悩みや不安が46.6%から59.9%まで大きく増加していることが分かります。

子育てにおいて、今や親の一番の悩みは『子どもの勉強や進学』であるということが統計データで示されているということです。

===

前で述べたとおり、家庭での学習習慣が身についていない4年生以上の小学生は7割程度もいること分かりました。

学習習慣が身についていない小学校高学年の子どもに対して、親がいくら勉強させるように頑張ったところで、多くの場合は子どもに反抗されてしまうでしょう。

そのような子の多くは勉強が嫌いなのですから。

また、無理に勉強させることができたとしても、子どもは苦痛を感じながら嫌々勉強することになるでしょう。

勉強に苦痛を感じていれば、勉強の集中力も高まりにくく、成績もそう簡単には上がってくれません。

こうなると、親のストレスがより一層大きくなり、子どもの勉強・進学に対する心配や悩みはますます大きくなってしまいます。

お金の悩み
親の悩みは、子どもの勉強自体に関することだけではありません。それに伴うお金についての悩みもあります。

前で述べた図3においても『子どもの教育費のこと』が第4位になっており、約4割の親がお金の悩みを持っていることが分かります。

さらに最近になって、ソニー生命保険は子どもの将来の教育資金に対する不安についての調査結果を公開しています。

図4は、就学段階別に子どもの教育資金に対する不安の程度を示した調査結果です。

親のお金の負担_ソニー生命保険

図4 子どもの教育資金に関する調査(ソニー生命保険、2021年3月)

このグラフを見ると、未就学児や小学生の子どもを持つ親の約7割が教育資金について不安を感じる結果になっています。

このとき、子どもに学習習慣が身についていなかったり、成績が悪かったりしたらどうでしょうか。無理に勉強させても成績が上がらず、どうにもならない場合も出てきます。

そんなとき、少しでも勉強させるために補習塾に通う必要が出てくるかもしれません。そうなると教育資金の不安がさらに増えることになります。

学習習慣の大切さ

これまで、子どもが勉強してくれない問題や親が子どもの勉強に不安を感じている問題について述べてきました。

この両方の問題を同時に解決するものがあると嬉しいと思いませんか?それが存在するのです。

子どもの学習習慣です。

確かに、塾に行っている時間だけでも勉強してくれるなら、学習習慣が身についていなくても、補習塾に通えばよいのではないかという考え方はできます。

しかし、やらされる勉強は苦痛なだけでなく学習内容が身につきにくく、費用対効果が著しく低くなります。

子どもに学習習慣があれば、わざわざ補習塾に通う必要もなくなるのです。

===

学習習慣が大切だと主張するとても重要な科学的根拠があります。

文部科学省の平成30年度3月の調査結果によると、学習習慣と読書習慣が学力にとって非常に重要であることが明らかになっています。

表1は、保護者に対する調査において、「お子さんの普段の様子について、各項目についてどれくらいあてはまりますか」と尋ね、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えた合計の割合を示したものです。

表1 保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究(文部科学省、平成30年3月)

学習習慣と学力_文科省

この調査では、学力を4段階(学力A層(上位25%)、学力B層、学力C層、学力D層(下位25%))に分けて詳細に調査しています。

特に、『よく本を読んでいる』と『親が言わなくても、自分から勉強している』は、国語2種類、算数2種類のすべての問題種別で、学力A層と学力D層の間に20%以上も差が出ています。

驚くべき差異です。

つまり、学習習慣や読書習慣と学力に大きな相関が見られるということです。

さらに、学力は勉強や読書によって向上すると考える方が自然です。学力が高くなったから学習習慣や読書習慣が身についたと考えるのは違和感があります。

したがって、学力は学習習慣や読書習慣と因果関係があると考える方が自然です。つまり、学習習慣や読書習慣が学力向上に繋がったと考えられるのです。

このような観点からも、親としては子どもに学習習慣を身につけてもらいたいと強く思うわけです。

子どもが自然と勉強するようになる2つのこと

結論から先に言います。子どもが自然と勉強するようになる(学習習慣が身につくようになる)ために大切なことは、次の2つです。

1. 遊びの中で勉強する
2. 勉強の成功体験を味わう

この2つは子どもに限らず大人にとっても、何かを学ぶ上でとても大切なことです。これら2つに効果が認められる科学的根拠は後半で説明しています。

さらに、これら2つを就学前に実践することがより重要になります。その科学的根拠も後半で説明します。

小学生になってくると、子どもに反抗期が訪れ、親の言うことに反発することが多くなります。そんななか、学習習慣を身につける良い手段があったとしても、子どもが素直に聞いてくれるとは限りません。

そのため、小学校高学年や中学生になってからよりは,親子でよく遊ぶ幼児期がチャンスです。親子で楽しく、これら2つのことを実践することができます。幼児はみな、学ぶことが好きですから。

後半の内容について

学習習慣が非常に大切であることは多くの親は知っています。しかし、統計データを見て改めてその大切さを実感したのではないでしょうか。

そして、多くの親が次に考えることは、具体的にどうやって子どもに学習習慣を身につけてもらうかです。

学習習慣が身につく具体的な実践手段は確かに存在します。

本書後半の『実践例の紹介』では、我が家で効果的だった10種類の実践内容を詳しく紹介しています。図5は、この10種類の実践例に対して、いつ頃実施したかを整理した表になります。

実践例の実施時期

図5 10種類の実践例とその実施時期

ここでポイントは2つです。

● ここで挙げている実践例には全て、『遊びの中で勉強する』と『勉強の成功体験を味わう』の両方が含まれている。
● ここで挙げている実践例が全てというわけではなく、『遊びの中で勉強する』と『勉強の成功体験を味わう』の両方が含まれていれば実践例は何でもよい。

実践する内容は各家庭で異なりますが、いくつかは使えるものが含まれているので参考になると思います。

さらに、後半部分に記載した科学的根拠及び実践例の内容を詳しく知ることで、自信を持って『遊びの中で勉強する』『勉強の成功体験を味わう』の2つを実践できるようになるでしょう。

===

本書について、もっと深く理解したいという方や具体的な実践内容について知りたいという方は後半の内容を読んでみてください(個人的なことを含むため読者を制限しています)。

なぜこの2つなのか、科学的根拠は何なのか、子どもが自然と勉強するようになる具体的な実践内容は何なのかについて詳しく記載しています。

前半部分が約5,000文字であったのに対して、後半部分は約11,000文字と少し分量は多いですが、重要なことをたくさん書いています。

長女がおなかの中にいるときから、どうしたら子どもが自然と勉強するようになるかをずっと考えてきました。そのための書籍をたくさん読み、トライ&エラーを繰り返しながら実践も数多くしてきました。

その結果、長女が小5となった今では、出された宿題をきちんとやっていますし、親に言われなくても自分から勉強しています。

それでは、後半でまた会いましょう(後半は下記のnoteで掲載しています)。

note.com

2021年7月13日
『教育パパですが、何か?』より